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氷華血鎖【鳴門】

第22章 一部・進展


『まぁ覚醒しようがしなかろうが兄弟の始末して永くは生きれない弟妹を看取ったらアタシも逝くさ』

「…それは…!」

『もし…』

「?」

『アタシが誰かに利用されそうな事があれば迷わず貴方の手で殺して』



そう言って酷く綺麗に微笑むチヅルに胸が締め付けられ苦しくなる。例え頼まれたとしても俺にチヅルを殺す事は出来ない、と思ったところでふと気付く。



「………」

『イタチさん?』

「変な事を言ってくれるな」



-とんっ-



『っ!?』



伸びた手は、昔弟にしてた様に…否、弟とは少し違う様にチヅルの額を小突く。ずっと抱えていた不確かな感情の正体が分かった気がした。





※※※





優しく小突かれた額がちょっとだけ熱を帯びた。この仕草をアタシは知っている。出会った時に見たイタチさんの記憶で。最愛の弟にしてた仕草だった。その仕草が意味するのは………と思考を巡らせると一つの可能性が頭に過ぎって一気に頬に熱が集中する。
あれ、待って。これはちょっとマズい。



-しゅぅぅう…-



「!?」



氷遁で頬の熱を速攻冷却して平静を装いながらイタチさんを見上げる。



『こ、ども………』



その瞬間。まるでフラッシュバックする様に数枚の絵が頭に流れる。今までとは違う。吐き気は無いし頭痛も頭を抱える程では無い。そして何より絵が一枚じゃ無くて数枚なのだ。まぁ一瞬なのは変わらないが。



「チヅル?」



ぱちぱちと目を瞬かせるアタシを不思議そうに覗き込んでくるイタチさんとの距離が縮まる。



『…はっ!子供扱いしないでよ』

「別にそのつもりは…」

『冷え込んで来たし戻ろ戻ろ!お布団に入れば多少は眠れるハズ』





※※※





朝起きて学校に行く支度をしてから、いつもの様にトシと朝練をして居間に入ると姉様は台所に立っていてイタチ兄様と鬼鮫おじ様はお茶を飲んでいた。



「おや、お二人共早いですね」

「うん、山降りて里まで行って学校に着くまで半刻はかかるから」

「あの距離を子供の足で半刻…」

「「?」」

「いえ、何でもありません」



そんな会話をしながら食卓を囲むと姉様が朝食を乗せたお盆を運んで来て、それをイタチ兄様が受け取ってイタチ兄様が食卓に朝食を並べる。
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