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氷華血鎖【鳴門】

第22章 一部・進展


"速攻始末する"
そう言ったチヅルからは何の感情も読み取れない。自らの手で始末せずに島の沈没で殺そうとしたと言う事はあの様な事をされておいて恨みや憎しみはそこまででは無い、と言う事になる。
だが二年も前から生きている事に気付き殺す為に探し…本人は精算と言っていたがそれだけでは無い様に思える。



「精算してどうする」

『………』



長い沈黙の後、縫い付けられた様に閉ざされた唇をゆっくり小さく動かす。



『この血は…滅ぼさなきゃいけない』

「滅ぼす…?」

『この血そのものが兵器だから』



確かにそうかも知れない。その血一滴であれだけの術が発動するのはとても恐ろしい事だと、よく考えてみれば思う。



『アイツ等が血遁使えるなんて正直、二年前に初めて知ったし、だからあの惨劇で生き延びてる訳だし…惨劇のあの時点で知らなかった自分がとても愚かだと思う』



平和と安定を願う故その血を忌み嫌う。だとしたらチヅルはどうなる?チヅルも血遁使い。



『アタシも…生きてたら駄目。鏡魔眼を持ってるから…余計に』

「!!!」

『血は兵器だし人の記憶も思考も読めるとか最低過ぎる』



冗談っぽく肩を竦めて見せるが、その真意は分からない。



『まぁこの血も目の事も寧ろ存在すら知らない人の方が多いからひっそり暮らしてたら何ら問題は無いと思うけど悪い人に知られたら最悪ね』

「双子は?」

『あの子達が血遁を使えないのは確認済み。マツは鏡魔眼を開眼する可能性があるけど条件が条件だから開眼する事は無い。それにアタシだってまだ最終段階まで覚醒してないし』



以前、大蛇丸が組織を抜ける…二年前に大蛇丸が言っていた。覚醒の最終段階は………未来が見えると。



「最終段階?」

『祖母に教えて貰った気がするけど…肝心な事は覚えてないの。最終段階の能力も覚醒条件も。だからそれが知りたくて沈めた故郷に足を運んでみたけど何も分からなかったし寧ろアイツ等が生きてるって言う悲報しか得られなかった』



立ちっぱなしが疲れたのか木の根元に腰を落とし木の幹に背を預けると静かに目を閉じる。何故大蛇丸が知っていたのかは知らないが、この事は俺から話しても肝心な覚醒条件は分からないから進展は無いと判断し心に閉まって置く事にする。
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