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氷華血鎖【鳴門】

第20章 一部・邂逅


「…強ぇな………これが暁か?」

「いや…般若の面を被ってる者は装束を纏ってないから違うだろう」

「あー…じゃあ何だ?」

「………分からない、が剣術を使うあたり鉄の国の者だろう」

「鉄の国、ねぇ…」



瞳孔の開いた金の双眼がチヅルを見やる。



「俺等と同じで血ぃ引いてるってだけの線は?」

「ほぼ無いだろう。あの刀捌きは血を引いてるってだけじゃ身に付かない」

「となると剣術対決じゃ分が悪いか」

「それだけじゃない。暁の装束を纏ってる方はうちはイタチだ。目は絶対見るなよ」



暁の情報は既に持ってる、と言う事か。



「よう、そこの暁のニーチャン」

「!」

「弥生 チヅルってアマ知ってっか?」



チヅルに動揺は見られない。ならば俺も沈黙を貫こう。



「黙りか。でもまぁこっちはアンタ等暁がその女を囲ってんのは知ってんだ。情報、吐いてもらうぜ!」



斬りかかって来るのを左右に躱すと間を入れずに俺に斬りかかって来る。大した体捌きだ。



-キィン-



「シズル!!っとに…血の気の多い奴め!」



シズル。チヅルの記憶の中で聞いた名前。と言う事は腹違いの兄弟で間違いは無さそうだな。あっちの細身がユキトか。兄の方は随分と冷静で頭が切れるタイプ。弟の方は血の気が多くかたやぶりタイプか。





※※※





「おいおい…勘弁してくれよ」



額から頬に。頬から顎に伝う汗は地に落ちる。汗を拭う暇すらも無い。全神経集中させないと命が危い、そんな戦い。うちはイタチと言う手練の忍。目を見ずに戦うのは極めて困難な挙句、般若のお面を被った小柄な忍の読めない動き。
まるで以心伝心してるかの様なコンビネーション。言葉は交わさずアイコンタクトだけで意思疎通をしている。果たしてアイコンタクトすらもしてるのかは分からないが。何せ般若のお面を被った忍の顔は愚か目すらもこちらからは見えないのだから。



「兄者…」

「あぁ…コンビで戦うのは分が悪い」

「俺、暁殺る」

「相性問題だと最悪だぞ」

「それはどっちと殺ろうが変わんねぇよ」



上手く二人をバラけさせるには…使うしか無いか。



-ビッ-



『「!」』



起爆札付きの苦無で指先に小さな傷を作って起爆札に血を一滴染み込ませる。
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