第4章 彼と過ごす初めてのクリスマスに…
クリスマスツリーの下から、歩き出そうとすると、光太郎くんが手を差し出してきた。
「俺の事待ってて、冷えたよな?あっためてあげるから貸して!」
ありがとう、と微笑んで彼の大きな掌に自分の小さな掌を重ねる。
握られた掌から、光太郎くんの体温が直に伝わって、心まで温められている感覚になっていく。
手を繋いだまま、ショッピングモールの中を歩いて見て回る。
「ほんっと、って出来た女だよなぁ…優しくて可愛くて、器量がよくて、料理も上手いし、控えめで、しっかりしてて、面倒見がよくて…あれ、欠点ねーじゃん!てか、欠点あんの?なくね?」
「ふふ、褒めてもなにもでないよ?」
「笑うとかわいい!あー、やべ!めっちゃ好き!幸せー!」
もう、大声出しすぎだよ、と注意しようと口を開いたのと、彼を呼ぶ声が聞こえたのは同時だった。
わたしと彼が振り向くと、そこに立っていたのは、彼と同じくらい背が高い男の人。
「でっけー声で彼女自慢してんじゃねーよ、羨ましいな」
「おー、黒尾!久しぶりだなー!」
黒尾と呼ばれた男の人は、チラリとわたしを見るとニコリと笑顔を見せた。
「初めまして、黒尾鉄朗です。いやぁ、木兎くんにこんなかわいい彼女さんがいたとは…以後、どうぞお見知りおきを」
「あ、失礼しました!こちらこそ初めまして!光太郎くんとお付き合いしてます、です!」
「おいおい、当然のように猫被んなー!てか、!こいつ、俺の親じゃねーから丁寧に挨拶しなくていーから!」
「悪い、騒がしいヤツがいるなーと思って見たらお前だったから、つい声かけちまって。邪魔したな。」
さらりとスマートに、人混みの中へ去っていく黒尾さんの後ろ姿を見送ってまた歩き出す。