第2章 ハニー・ナースコール①
「知りたい~?」
「はぁ…まぁ…」
「じゃぁ俺とデート」
バギューン!
報太郎の鼻先を銃弾がかすめていった。
「真面目に答えなよ。報太郎。」
夢野は微笑みながら、煙がのぼる銃口を報太郎に向けていた。
「ちょっと夢野さん!当たったらどうするんですか!」
七七七が叱責すると、夢野は茶をすすりながら、机に銃を置いた。
「お~怖い怖い。まぁ被害にあった人の事調べたら、だいたいどこらへんが怪しいってとこまでは分かったからさ~。ここにメモ置いとくな~。」
報太郎はそう言って1枚のメモを机の上に置く。そこには病院の名前と診療科の名前が書かれていた。
「次はナースプレイだな。七七七。」
夢野はニヤニヤしながら意地悪を言った。
「はいはーい!オレも混ぜて~!」
「君はダメ。」
「なんでだよ~!」
「そもそも!ナースプレイなんてしません。そこまで特定できてるなら患者として潜入捜査するだけでいいんじゃないんですか?」
失礼の極みの様な会話を遮り、七七七は言った。
「あれぇ?七七七ちゃんは医者と患者の方が燃えるタイプ~?」
七七七は無言で、報太郎の頭をお盆でバチンとぶっ叩いた。
「でもナースに変装した方が早く見つけられるだろうから、やっぱりナースの方がいいんじゃないかなぁ。」
キィッと椅子を軋ませながら、夢野がつぶやく。
「そんなこと言ってまた…」
「もたもたしてたらまた被害者が出るかもしれないけど…?」
「!……」
七七七がここで雇われて、こんな仕事を引き受けているのは実は生活のためだけではなかった。
彼女自身の正義感のようなものも理由の1つなのだ。
「分かりました。で!も!できれば昨日みたいなことになる前に助けてくださいよ!」
七七七が机をバンと叩きながら言うと、報太郎がにたにたといやらしい笑顔を浮かべる。
「あれ~?七七七ちゃん、昨日なんかあったの~?」
「昨日は実によかったねぇ~。」
夢野もすぐに悪ノリする。
「あ~ずるいずるい。オレにも教えてよ~。」
「絶対嫌です!」
興味津々に聞きたがる報太郎をなんとかあしらい、七七七は潜入の準備を始めた。