【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第6章 Just want to
保護したつもりなら、なぜ普通の生活を送らせてやらない。
リサは自分なりに必死でまともに生きようとしていた。
それなのに。
俺はベッドの上に置かれた手錠のキーを取り、横たわっていたリサの手首から手錠を外した。
何度逃げようとしたのだろうか、真新しい傷口から鮮血が滲んでいる。
突然、マンション中にジリリリリ・・・と、つんざくような警報機の音が鳴り響いた。
振り向くと、男が床を這うようにして移動し、壁に備え付けてある非常通報装置を押していた。
こちらを見、狂気の入り交じったしたり顔で笑ってみせた。
「見ろ!すぐに警備員と警察が来る。お前らを不法侵入と傷害の罪で逮捕してもらうからな」
「このクソ野郎・・・」
逃げるのは不本意だが、ここまで言い切るからには警察上層部にも腐ったやつがいるに違いない。
俺はベッドの上のリサを抱き上げようとした。
その時だった。
「あっ、しゅ・・・」
弱々しい声が聴こえた。