【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第6章 Just want to
「やっぱり弟の方だったか。兄の会社の金と権力をフルに使ってリサをここに監禁していた。そうだな?」
つくづくこの世に神などいないと思う。
こんな男に金も権力も与えるのだから。
「監禁!?違う!私は親にも親戚にも見捨てられたこの子を保護して、」
「保護だと?笑わせるな。外で生きたがったリサを、わざわざ犯罪者の名を使ってまで借りたアパートで監視下に置いていたくせに。どうせそいつのツテでも使ってリサを買ったんだろう。親族のいない、誰にも探されるリスクの無い子どもを」
必死な言い訳をさえぎりそう言うと、男は青ざめた。
「どうしてそこまで・・・君は一体・・・」
何が起きているのか分からないといった表情だ。
コイツは詰めが甘い。
俺があのアパートに行ったことも、スキップが出入りしていたことにも気が付いていない。
だが万が一リサのことが世間にバレてしまった時のことを考えてか、このマンションを個人所有ではなく会社所有にするあたり保身だけはしっかりしている。
誰かに罪をなすりつける気だったか。
自分は安全な場所に居ながら弱いものをいたぶって楽しむ、心の底から軽蔑すべき人間だ。
「・・・否定しないのは、俺が言ったことを認めるということだな?」
銃口を向けながら言うと、男は何かを思いついたかのように急に態度を変えた。
「認めたらどうする?」