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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第2章 Requiem



「えぇと・・・ちょっと待って、ひとつずつ答えるから」

少女は銃を向けられたと分かった時より余程焦っている。
その姿を見ていると何だか妙に馬鹿馬鹿しくなって、銃を降ろした。

この少女が自分に危害を加える気は感じられない。
動物的な勘だが、こういう訳の分からない状況の時は、その勘を何より頼りにしてきた。
そして、その勘が外れたことは無い。

少女は律儀に指を折って質問の数を数えてから、ゆっくり話し始めた。

「私はリサ。ここは私が住んでるアパートメントで、月の半分くらいは一人暮らし。もう半分くらいは同居人が居て、今日も居るんだけど、彼は今買い物に行ってるの。明け方あなたをビルの屋上で見つけて、ここまで運んできた。ここはあなたがいたビルのすぐ近くだよ」

言い終わると役目を終えたと言わんばかりに、ホッとした表情を見せた。

「運んだって、あんたがか?」

「あ、うん、でも一人じゃさすがに無理だったから、その同居人の子が手伝ってくれて・・・」

「ただいま!」

階段を三段くらい飛ばしながら駆け上がってくる足音が聞こえたと思ったら、 元気のいい声と共に部屋の扉が勢いよく開いた。

「おかえり、スキップ」

リサと名乗った少女が、現れた少年に笑いかけた。

「あっ、その人目を覚ましたんだ?ちょっと待って、すぐメシ作ってくるから!リサはホットドッグ、マスタード抜きだね!」

「うん、ありがとう」

スキップと呼ばれた少年はリサの言葉が終わらないうちに、紙袋に入った食材をガサガサ言わせながら奥の部屋へと消えていった。

年の頃は10歳くらいだろうか。
短い黒のカーリーヘアに、褐色の肌をしている。

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