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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第6章 Just want to



アパートを出ると路上駐車してある車を一台拝借する。

フライの返事は相変わらず早く、運転しながら送られてきたデータに目を走らせる。

リードコーポレーションがこのニューヨークに保有している不動産は商業施設やオフィスビル等無数にあった。
その中に一つだけ高級住宅地の中のマンションがある。

個人所有でないマンション・・・?
社員が寝泊まりするためだとしたら、本社からは離れすぎている。

確信はない・・・だけど今は他に手掛かりも無い。
行くしかない。

俺はそこまでの最短ルートを頭の中に描いて、思い切りアクセルを踏み込んだ。
窓の外をものすごいスピードで車のライトが流れていく。

リサの首の痣。
部屋の札束と薬瓶。
スキップの話。
フライがくれた情報・・・

ひとつひとつを線で繋ぐと、想像もしたくない事実が頭の中に浮かび上がっていた。

もしかしたら俺はずっと考えないようにしていたのかも知れない。

思えば最初から異常な状況だった。

普通に生きてきた16歳は、銃を持った初対面の奴を躊躇なく家に入れたりはしない。
自分の命が惜しければ、自分が大切ならばそんなことはするわけがない。

死ぬよりも苦しい目に合ったことがあるから、銃を向けられても微動だにしなかったんじゃないのか。


・・・リサ、どうか生きていてくれ。
まだ俺はお前のことも、スキップのことも、よく知らないままなんだ。


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