【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第6章 Just want to
苛立ちを感じながら手がかりを探していると、再びスマホが振動した。
フライだ。
『追加の情報だ。その部屋の契約者は前科者にも関わらずどうやら今はNYで一、二を争う大きな警備会社に務めてるらしい。たぶん裏口就職ってやつさ。必要ならその会社の情報も送っとくぜ』
「ああ、頼む」
通話を切ると、すぐにメールが送られてきた。
「!」
そこに書いてあったのは、名前を言えば誰もが分かるような警備会社だ。
“REED Corporation”
(リード・コーポレーション)
「イニシャル“R”・・・まさか、な・・・」
そんな大きな会社とリサに関係が?
「アッシュ、何か分かったの?」
心配でいてもたってもいられないスキップの様子を見て思った。
たとえ間違っていたとしても、今はこれしか手掛かりがない。
俺はフライに追加で調べて欲しいことをメールし、スキップに向き直った。
「スキップ、少しここで待ってろ。リサを探しに行ってくる。何かあったらこの番号に電話してくれ」
スキップの手のひらにペンでスマホの番号を走り書きすると、「わかった」と頷いた。
「もしリサじゃない奴が戻ってきたら油断するなよ。場合によっては窓から逃げろ」
そう言うとスキップは大きな瞳でウインクして見せた。
「大丈夫、そういうのは慣れてるから!」
部屋を飛び出そうとした時、スキップが叫んだ。
「アッシュ!リサをお願い・・・!リサは、初めて俺のことを助けてくれた人なんだ」
俺はスキップの目を見て頷き、走り出した。