【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第6章 Just want to
「アッシュ、もう一種類あるよ」
そう言ってスキップが手渡してきた瓶を再度調べた。
そんなことをしなくてもおおよそ何の薬かは想像が出来てしまって、俺はだんだんと自分の血の気が引いていくのを感じた。
結果は俺が予想していたものだった。
「俺、リサが薬飲んでるなんて知らなかった。何の薬だったの?」
「・・・・・・バースコントロールピルとモーニングピル・・・簡単に言うと避妊薬だ」
床に散らばった無数の薬瓶を見ながら答えると、スキップが助けを求めるように俺を見た。
「リサに彼氏がいるなんて知らなかった、って言いたいけど・・・」
「彼氏なら、こんな大量のモーニングピルは必要ないだろうな」
こいつを飲む理由で考えられるのは、避妊の失敗か・・・・・・レイプだ。
しかもこんなに大量に。
リサは一体どんな生活をしていたというのか。
いや、今そのことは後でいい。
先にやらなければならないことがある。
俺はポケットからスマホを取り出して、発信ボタンを押した。
すぐに電話の向こうで気の抜けた声が応答する。
「フライ、ちょっと頼みがある。今から言う住所にあるアパートの部屋の契約者を調べてくれ。・・・ああ、情報料は次に仕入れる弾薬の代金に上乗せしてくれればいい・・・」
手短に要件だけ伝えて切った。
新しく契約した武器商人は、情報屋としてもかなり優秀なやつだ。
何かしらの情報はくれるだろう。
傍にいたスキップが物言いたげに俺を見上げた。
「アッシュ、あんたって・・・」
「なんだ?」
「俺・・・実を言うとアッシュがここに来るまで、もしかしたらアッシュがリサに何かしたんじゃないかって、少しだけ思ってたんだ。ごめん・・・」