【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第6章 Just want to
寝室から出てきたスキップが、物を踏み越えながら近づいてくる。
「驚いただろ。俺しばらくここに来てなくて今日久しぶりに来たんだ。そしたらリサは居なくて、部屋はこんなだし・・・」
スキップが不安げに瞳を震わせた。
「リサはたまに服を散らかすけど、こんなのは初めてなんだ。強盗かと思ったけどそれなら金を盗むはずだろ?もう少ししてリサが帰って来なかったら警察に連絡するつもりで、俺・・・。どうしよう、悪い奴らに拉致されたのかも・・・どうしよう・・・もっと早く来てれば良かったんだ・・・」
俺は今にも涙を零しそうなスキップの肩に手を置いた。
「落ち着けスキップ。とにかくお前はリサをしばらく見てないし居場所にも心当たりが無い。そういう事だな?」
「リサはいつもしばらく家を空ける時は、必ず置き手紙を書いてくれるんだ。いつ頃帰ってくる、って。ぐちゃぐちゃの部屋ん中、必死で探したけど見つからなくて・・・」
スキップが俯いて拳で目元を拭った。
「心当たり、全然無いんだ。リサはいつも自分の話になると曖昧に笑うだけだったから・・・。今日は火曜日だし、もしかしたら図書館かもって思ってた。アッシュがここに来るまで、そう願ってたんだ」