【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第4章 Hello, goodbye
アレックスのやつ、風邪で頭がイカれてショーターにしゃべりやがったな・・・
「“せっせと”は余計だ。ただの野暮用さ」
ショーターは俺の返事に意味深に笑ってみせた。
「フウン・・・野暮用ねぇ。んで今から行くの?図書館」
「まあな」
面倒くさそうにそう言うと、ショーターがヘルメットを投げて寄こした。
「じゃあちょうどいいや。乗れよ!」
「いやよく見ろよ。俺コーヒー持ってるだろ?この格好でバイクは寒いし・・・」
「没問題没問題!」
中国語はわからないがおそらく大丈夫とでも言ってるのだろう。
明らかに断っている俺をショーターは引きずるようにしてタンデムシートに乗せようとする。
強引なやつだ。
仕方ない。
単純な腕力じゃコイツには勝てない。
諦めて火傷しそうになりながらホットコーヒーを飲み終え、バイクにまたがった。
直ぐに発進し、凍りつく前のアスファルトを図書館に向け順調に走って行く。
『・・・アッシュ、アッシュ聞こえるか?』
突然ヘルメットの中にショーターの声がこだました。
『びっくりさせんなよ。インカム付きか?このヘルメット』
『ああすまん。実はおまえに警告があってな。オーサーの野郎が本気でおまえを殺そうとあちこちに手を回してるらしい』