【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第4章 Hello, goodbye
「アッシュ、これの答えわかる?」
見せられたのは中学生レベルの数学の問題だった。
「a=3/8、m=-2」
「え・・・・・・・・・」
スキップが固まる。
「どうしたの?スキップ」
「すげえ・・・合ってる。しかも即答、電卓無し」
二人が尊敬の眼差しでこちらを見た。
全然難しい問題でも何でも無いのに。
なんとなく扉から出て行くタイミングを失ってしまった俺を、リサが真剣な顔をして見つめた。
「アッシュ・・・!」
琥珀色の瞳に真っ直ぐに射抜かれる。
「何?」
「お願いが、あるの」
「・・・何だ?」
「勉強を、教えて欲しいの」
「誰に?」
「わ、私に・・・」
「・・・・・・・・・え?」
戸惑っているとスキップがニコニコ笑って追い打ちをかけてきた。
「アッシュって賢い上に義理堅いんだね」
感心したように言われたせいで、もう後戻りは出来なかった。