【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第3章 美しい人
目が覚めると、もう真夜中だった。
背中は相変わらず痛むし、喉がカラカラに乾いている。
「リサ?起きたの?」
なるべく音を立てないようにキッチンへ入ったのに、小さなソファベッドで寝ていたスキップが片目をこすりながら起き上がった。
「ごめんねスキップ、起こしてしまって」
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出しながら言うと、スキップは伸びをしながら立ち上がる。
「ううん。俺もなんだか眠くって夕方からずっと寝てたんだ。寝過ぎちゃった」
「そっか、お水飲む?」
「うん、リサ、お腹は空いてないの?」
スキップがコンロの鍋を指差して言った。
私が寝てる間に作ってくれたものだ。
「空いた・・・かも。一緒に食べない?」
「OK。あっためるから待ってて」
スキップが台所に立ち、私はミネラルウォーターをグラスにふたつ注ぐ。
私なんかよりずっと生活力のある少年は、鍋のシチューを焦がさないようにかき混ぜながら温めてくれた。
夜中の1時だけれど空腹には勝てなくて、ふたりでテーブルに向かい合って食べ始める。