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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第2章 Requiem



驚きはしたが、知らなかったなら仕方ないと思うしかない。
縫われた部分は糸をほどけばどうにかなる。
俺はそう思ったが、スキップのお説教はまだ終わらなかった。

「だいたいリサは服のチョイスもちょっとおかしいんだよ。そのパーカー着たまま出かけないほうがいいぜ?なぁ、あんたもそう思わない?」

スキップに同意を求められたのでリサの着ているパーカーをよく見ると、ど真ん中に筆記体でこう書いてあった。

“I feel happiness when I eat a potato.”
(私はジャガイモを食べてる時が幸せ)

思わず小さく吹き出すと、リサが泣きそうな顔をしてこっちを見た。

「そんなにおかしい?お店で一番かっこいいパーカーだってオススメされたから買ったのに・・・」

どんな店だか知らないが、ろくな店ではないことは確かだと思った。

「中学生だと思って舐められてるんじゃないのか?」

そう言うと、ムッとした声で返事が返ってきた。

「私は中学生じゃなくて高校生だよ。16歳」

小さくつぶやいたリサの言葉に衝撃を受ける。

「16?嘘だろ、同い歳かよ」

「あなたこそ16には見えないよ、17くらいかと思った」

「リサ、17と16じゃあんまり変わらないと思うけど」

スキップが的確な指摘をするのでリサはまたしょんぼりとしてしまった。

色々とズレているリサの発言に、まるでコメディドラマでも観せられてる気分だった。

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