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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第9章 ふたつの心




「ボス!・・・と、あれ、ボスの生き別れの妹!?」

背の高い大柄な男の人と、赤毛で小柄な男の人が入ってくる。

「コング、ボーンズ・・・おまえら、ノックぐらいできねぇのか」

「ひぇっ!ごめんよボス」

アッシュが早々と食べ終わった缶を二人に投げつけると、小柄な方の男の人が慌ててそれをキャッチした。

何となく二人に見覚えがあるような気がしたけれど、記憶を辿るよりも先に、投げられた言葉の意味が分からず思わず聞き返した。

「“生き別れの妹”・・・?」

さっき二人はわたしを見て、そう言ったように聞こえた。

「あぁ・・・それ、気にしなくていいぜ」

理解しているようなのに、全く説明する気のなさそうなアッシュに、ますます頭にハテナが浮かんだ。
困惑しているわたしに、代わりに二人が話しかけてくれる。

「ほら、オレたちに見覚えあるだろ?今日コインランドリーですれ違った・・・」

「あっ・・・!あの、ドアのところで?」

うんうん、と頷く二人。
知らない男の人に連絡先を教えて欲しいと言われて、逃げるようにランドリーを飛び出した時、確かに二人組の男の人にすれ違った。
そのおかげで知らない人に追いかけられずに済んだわけだったけど・・・

「数日前からボスにあんたを見張れって言われてたんだ。見張れっていうか・・・ボディーガードっていうか?」

「ボーンズ、余計なことを喋るな」

アッシュにボーンズと呼ばれた赤毛の人は、アッシュの鋭い視線のせいで説明の途中で口をつぐんだ。

「ベラベラとしゃべりやがって・・・。俺は少し出てくる。リサ、食べたら寝ろよ。アレックス、後は頼んだ」

そう言うとわたし達とは目も合わせず、不機嫌そうな表情をあらわにしたままアッシュはどこかへ出て行ってしまった。
いつもながらあまりの素早さに、わたしは返事をする間も無かった。

「頼んだ、って、え?この子のことか?」

誰もいない扉に向かってアレックスが問いかけ、ボーンズとコングがやれやれと肩をすくめる。

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