【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第2章 Requiem
「傷はともかく寒さで危うく死ぬところだった。ありがとう」
素直にお礼を言われると思っていなかったのだろうか、リサは「ほんとに気にしなくていいよ」と、少しはにかむように笑った。
裸で添い寝することよりも、お礼を言われた時の方が照れるなんてやっぱり変わったやつだ。
「服、乾いたみたいだよ!」
いつの間にかキッチンからいなくなっていたスキップが、洋服を抱えて戻って来た。
はい、と手渡されたものを見て愕然とする。
パーカーやジャケットはともかく、ジーンズまで綺麗に洗われて心なしか色が落ちた上に縮んでいる。
それだけならまだ許せるが、ところどころ破れた部分が全て繕われていた。
それもめちゃくちゃ下手くそな縫い方で。