【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第2章 Requiem
「そんなことよりリサに感謝しなよ。あんたが低体温症にならないように明け方からずーっとあっためてたんだぜ」
スキップが具材を詰めたパンをトースターに入れながら言う。
「あっためて・・・?」
「そ。病院に運んでも良かったんだけど、ヤバい身の上とかだったら困るってリサが言うからさ。ここで手当てしたんだ」
本で読んだことがある。
人の身体はある一定よりも体温が下がった場合、いきなり温めてはいけない。
冷たくなった血液が体内を循環して、逆に体力を消耗させることになるからだ。
温めるためには人肌でゆっくり温度を上げてやるのが最も安全。
ということはつまり、俺の体温が戻るまでずっと側にいたってことか?
助けるためとは言え、得体の知れない男と裸でベッドに入るなんて、親切を通り越してイカれてる。
しかも大目に見てもリサは中学生くらいの年齢にしか見えない。
そんな歳のやつに、俺は・・・
「そんな怪訝な顔しないでよ。リサはいつもこんな感じで怪我した動物を連れて帰ってきちゃうんだ。人間を拾って来たのは初めてだけどね。あ、俺を入れたら二人目、かな」
言いながらスキップが温めたミルクを差し出してくれる。
それを受け取りながら思わず言った。