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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第2章 Requiem



渡された服に袖を通してみると、腕も脚もまるで長さが足りなかったが、他人の家で下着姿でうろつくわけにもいかなくて、そのまま着て寝室を出た。

このアパートには寝室の他にバスルームとキッチンしかないようだった。
それでもこのニューヨークで、元々一人で暮らしていたにしては広すぎるくらいだ。
家賃も相当にするだろう。

だいたいこんなところで小学生、いや中学生が一人暮らしか・・・?
少し考えただけでも謎だらけだった。

シャワーの音がしない方の扉を開けると、テキパキと食事の準備をするスキップが目に入る。

「あ、そこに座りなよ」

スキップはシンプルなカウンターキッチンの向こう側で手際よくホットドッグを作っていた。
ダイニングテーブルと呼ぶには小さすぎる机に、向かい合わせに椅子が二つ置いてあった。

指さされた席には既に新鮮そうなサラダが用意されていて、食べるか迷っていた俺の心の中を読むようにスキップは言った。

「心配しなくても毒なんて入ってないよ。何かするつもりなら寝てる間にやってる。そうだろ?」

至極正論を言われて、幼いのにしっかりしたやつだと思う。

「ああ、そうだな」

フォークでサラダの中にいたエビを刺して口に入れた。
ほどよい塩気が口の中に広がる。

「・・・うまい」

素直に感想が口をついて出た。

「だろ!?特製シーフードサラダ」

スキップがカウンターキッチンの向こうで得意げに笑った。

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