【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第7章 山猫の住処
スマホの画面で、もう夜中の1時であることを知る。
私はもともと不規則な生活しか送っていなかったけど、アッシュも夜行性なのだろうか。
薄々気づいてはいたけど高校には通っていないみたいだし、早く寝る必要もないのかもしれない。
ミネラルウォーターで薬を喉の奥に流し込みながらそんなことを考えていると、アッシュがふわ・・・とひとつ小さなあくびをした。
それからずるずるとソファに横たわる。
・・・やっぱり眠いよね。
もしかして私のせいでずっと起きていてくれたのかな、そうだとしたら申し訳ないな・・・
いや、そんなことよりも。
「アッシュ、そこで寝るの?」
スキップが寝転ぶのにちょうどいいサイズのソファは、アッシュの長い手足を思い切り持て余している。
「悪いな。あいにく一部屋しかないから同じ部屋で寝るしかないんだ」
言いながらアッシュは目を閉じてしまった。
手に持っていた本がバサリ、と板張りの床に落ちた。
「違うのアッシュ、そうじゃなくて私はもう充分寝たから、」
ベッドで眠って、と言おうとしたのに、長い金色のまつ毛に縁取られたグリーンの瞳は、もう開く気配が無かった。
疲れてたのかな。
ほんの数秒前まで会話していたのに、寝ちゃった・・・