【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】
第7章 山猫の住処
アッシュの強さは知らないけど、頭がいいのは間違いないと思う。
だって、無知な私にも分かるように勉強を教えられるんだから。
ストリートギャングってテレビで観るような、しょっちゅう拳銃の撃ち合いや麻薬の取引をしてる人達のことで合ってるんだろうか。
あんまりテレビは観たことがないけれど、そんなイメージだけが頭の中にあった。
私は、アッシュを屋上で見つけた時に彼の身体にあった無数の傷を思い出していた。
でもアッシュにそんな恐ろしい雰囲気は感じられないけれど。
強いて言うならさっき見せた目がすごく冷たいような気がしただけで。
「スキップ、アッシュがそんな怖い人なわけないよ・・・」
言いながら眠気に襲われる。
この一週間、意識が遠のいていくことがいつも恐ろしかった。
二度と目が覚めないような気がして。
でも今は怖くない。
スキップがいて、アッシュのマフラーに包まれて、あったかいベッドの中にいる。
スキップが何か言ったような気がしたけど、すでに夢の中に片足を踏み入れていてよく聞こえなかった。
昨日まで絶望の中にいたことが嘘のように、私は穏やかな眠りについた。