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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第7章 山猫の住処



「ごめん、つい・・・」

しなしなのレタスを噛み締めながら謝ると、アッシュがハンバーガーの包み紙を丸めて言った。

「よく謝るやつだな。あんまり謝るとすぐ訴えられて負けるぜ」

「そうなの・・・?」

「まあ、この辺りじゃ肩と肩がぶつかっただけで裁判になる前に袋叩きにされるか殺されるかがオチだけどな」

「袋叩き・・・」

物騒な話に、ドキドキしてしまう。
袋叩き、とはなんだろうか。

「死なない程度に殴ったり蹴ったりされるってこと。でも運が悪かったら死んじゃうかも」

唇にケチャップをつけたスキップが解説してくれる。

「そ、そうなの・・・」

図書館に行く以外は人を避けるようにして生きてきたから、そんなこと考えたことも無かった。
外で暮らすようになったのもこの一年と少しのことで、私にはまだまだ学ばなければならないことが山のようにあるんだ。

「でもリサ、今のは極端な例だよ。だいたいの人はそんなのとは無縁に生きてくから」

青ざめていた私の隣でベッドに腰掛けたスキップが、フォローするように私を肘でつついた。

「俺は出かけるけど夜中には戻る」

ハンバーガーを食べ終わったアッシュが、しかめっ面でコーラを飲みながら言った。
そう言えばさっき、しかも朝からコーラかよ、とボヤく声も聞こえた気がする。


「#1が俺の番号だ」

部屋を出る直前、アッシュはそう言って私にスマホを手渡した。

「無いと困るだろ?しばらくそれ使えよ」

「あ、ありがとう・・・」

特に連絡する相手もいないので困ることも無さそうだけど、何かあった時には助かるかも知れない。

「じゃあ俺の番号も入れとくね!」

スキップが手際よく指紋認証の登録やアドレス帳の登録をしてくれた。

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