第1章 幕開け
月が揺れている。
波に呑み込まれるようにゆらゆらと月が泳いでいる。
薄暗く、月の光が辺りを照らす。
「キャプテン〜!この街、随分と栄えてるみたいらしくてオレ自由行動がいいな〜」
「おっ!いいこと言うなベポ、サンセーっす」
風になびかれゆらゆらと揺れる海賊旗の下、シロクマとpenguinという帽子をかぶった男が言った。
penguinとかかれた帽子をかぶっている男はシロクマが言った”キャプテン”という男へと視線を向ける。
「勝手にしとけ」
視線の先の目つきの悪い男が口を開いた。
彼の一言で一同は歓声をあげた。
「ういっしゃ!」
「やったぜ〜!」
ガッツポーズをした船員たちは船を降り始める。
「おいベポ、ログはどれくらいでたまる」
「んーっとね、1週間かなぁ…」
キャプテンと言われた目つきの悪い男の尋ねに、シロクマが答えた。
ベポと呼ばれたシロクマの返事に目つきの悪い男は眉間に皺をよせる。
「あ?長すぎねぇか…」
「それオレも思ったんだけどこの近くに島はないし仕方ないよキャプテン…使えないクマですいません……」
ベポというシロクマがどんよりとした空気をまといながら言う。
「チッ…、まぁいい」
そういい、目つきの悪い男は船を降りた。