第3章 2人の物語
街は昨日と同じく賑わっていて、やはり栄えた街だということがわなる。
明るいお店が立ち並び、品物を買う客や商人で溢れていた。
ルルアは、近くにあった小麦色のカフェへ入り、ベランダに腰掛ける。
「君可愛いね、一緒にお茶でもどう?」
「えー…お小遣い何ベリーくれるかによるかなぁ」
アイスティーを頼み、地図を開けていると、声が聞こえたもので適当にいつも通りの返事をしてやる。
目も合わさない様子に呆れたのか声をかけてきた男は立ち去った。
(変なナンパなんてしなくていいのに…)
最初は大人に見られたようで嬉しかったものの、もう断るのがめんどくさくてため息がでる。
「じゃあ九千万ベリーでどうだ?」
「えっ?」
聞こえてきた知っている声と、九千万という高額な値段に反応し、思わず顔を上げると、昨日の夜の最低な男のローがいた。
昨日はあまり気づかなかったものの、こうやってみると彼は随分と整った顔立ちをしていた。
「ペンギンからきいた。お前のだろこれ」
ローはベンチの向かい側に座り、札束を机へと落とす。
(このお金ってあの濁声の…)
昨日気絶させたあの海賊についていたお金だと知り、ルルアはその札束をローの方へと寄せる。
「かえすわ…」
「は?」
(………)
昨日も感じたこの彼の威圧にはやはり少しビクッとなる。
(本当は、こんなの怖くないはずなのにな…)
「あなたたち、海賊なのでしょう?あの海賊を海軍に渡すだけでもすごい手間のかかることなのだから、これはあなたにかえすわ」
(別に、お金に困ってないしね)
「へぇ…」
受け取れない。という表情をすると、彼は不思議そうに言った。
「………」
やはり、ローを前にすると昨日のダイアナとの光景を思い出し、少し気まずくなる。
刺青の入った腕をみて、細いのに筋肉があって、男の人なんだな。と思ってしまう。
目つきは悪いものの、整った顔は、やはり女遊びをしてそうだった。
そんなことを考えていると、ローが口を開いた。
「お前、コトコトの実の能力者だろ」
ドキッ
「…………」
「見たことある顔だと思ったんだが、まさかこんなとこでこんな大物に出会えるとはな」
ローがニヤリと口角をあげて言う。
昨日と随分違う様子に、人はやっぱり信じられないとルルアは強く思った。