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ONE PIECE トラファルガーらぶ♡

第3章 2人の物語


『わたしだけを愛してくれるって…言ってたのに』

ウェーブのかかった長い髪の女の人が言う。

彼女の頬に涙が流れた。

顔は靄がかかっていてよく見えない。


胸が痛くなる。

苦しくなる。

息ができなくなりそうな、そんな感じに胸が痛い。




ーー

「夢、ね…」

目を開けると、昨日泊まった宿の部屋の天井があり、夢だと知る。

夢の割にはとても鮮明で、まるであの女の子はわたしで、わたしが実際に体験したことのように感じる。

(そんな記憶はないけれど…)


最近、またよく見るようになったその不思議な夢のことを考えながら、地図を開く。


「もうすぐ、もうすぐ着くわ」

シャボンディ諸島という島の地図を見ながら呟く。



白ひげ海賊団は、わたしが賞金首になった時に守ってくれた唯一の人たちだった。

まだ幼い6歳という年齢で高額の賞金をつけられたルルアにとって、外は敵そのものだった。

そんな中白ひげのおじさんは船へと乗せてくれた。

人生の恩人だ。


あの太陽のような眩しい笑顔を向けてくれた優しいエースを思い出す。

彼はお兄ちゃんみたいな存在だった。

そんなエースが海軍に殺されてしまおうとしている。

助けたい。

絶対に殺させやしないから…


もうすぐで、エースを救える。

(はやく行って白ひげのおじさんに情報を渡さなくちゃ…!)


シャッシャ…

クシで髪をといていると、やはりあの時を思い出す。


ーー

『わー、エースっていがいと器用なのね』

『おいおい、一言余計だぞ?これがルルアのダメなとこだ』



器用な手つきで髪をといてくれたっけ。


唯一、素でいられたあの空間を。

それを作ってくれた人たちに、恩返しを精一杯したい。


机へと目をやると、ウェーブのかかった長い髪を風にゆらゆらとなびかせながら、冷たい目をしているわたしの写真があった。

賞金首の手配書だ。


海軍のところに行く。

賞金首のわたしにとってはもう、死にに行くようなものかもしれない。

(それでも…)

「絶対助けるから…、まっててね」

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