• テキストサイズ

ONE PIECE トラファルガーらぶ♡

第3章 2人の物語


たまに、夢に見る。

濃い靄のかかった世界で、涙を流し抱き合うわたしともう1人の男の人を。


恋人、なのだろうか。

わたしは、その人のことが好きなのだろうか。


隣の男の人は、誰なのだろうかーー。





































息が、大袈裟ではなく本当に止まりそうになった。

さっきから心臓がドクンドクンと大きく高鳴り、周りの音なんて聞こえやしない。


ーー

「ルルア?」


それは多分、あの夢の、隣にいる男の人と彼が同じ空気をまとっていたからだろうか…?


ねぇ、どこかでーー

(会ったこと…)




「ルルア〜?」

「…ダイアナちゃん」

ハッとした。

ダイアナの声とともに、周りの雑音が耳を通る。

辺りは賑わっているのに、不思議だった。

一瞬、一瞬だけ、なにも聞こえなくなったのだから。

ダイアナがわたしの背中に手を置く。

(あっ…)

そうだ。


「ダイアナちゃん、妊娠したって本当に?」

台本通りにダイアナに言う。

彼女は微笑み、首を縦にふる。

「…うん」

そして、見るまでもない、ローという目つきの悪い、あの彼に似た人へと視線を向けただろう。


「あ?」

頭の上から不機嫌な声がふってきた。

その威圧をも交えた声に思わず肩がビクッとなる。


本当はこんなの怖くないはずなのにな…


「ロー、あたし…妊娠した、の。」

つなぎ言葉でダイアナが言う。

その声は緊張を滲んでいるような気さえする。


不思議だと思った。

そして、直感する。

「しらねぇよ」


あぁ…

直感は確信へと変わった。

ダイアナとそのローという男は付き合っていて、妊娠した。

とのことだと思っていた。

だけど、多分実際はそんな甘いものではなくて。


一夜限りの女?

にしては随分と親しそうだ。

セフレ。

といったところだろうか。


随分と酷い男だな。と本気で思う。

妊娠させといて、知らない。の一言で済ませるなんて幾ら何でも最低すぎだ。


「あはは…だよ、ね。嘘だよふふっ」

乾いた笑い声が聞こえた。
その声は涙声だった。

多分、本人はバレないように必死に作っている。

ダイアナだった。

彼女の鼻は赤くなっており、目には涙がたまっていた。

/ 43ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp