第2章 Who are you
「なんのつもりだ」
目つきの悪い男が不足そうに言った。
(なんのつもりって…)
急に抱きしめられたら誰でもびっくりするものだ。
だいいち、知らない人…。でしょう?
「ここ、は…どこで。あなたは、誰、なんですか…」
「あ?」
低い音が聞こえ、肩をギクッとさせると男はまじかよ。と言った。
なんとも言えないような空気を壊すようにして、バタンと扉が開き、どすどすと音を立てて、しろくまが中に入ってきた。
(きゃっ、クマ)
「し、しろくま!」
「ひな〜!目を覚ましたんだね!オレ心配で心配だったんだよ!」
く、クマが、喋った?
驚いて声にならないひなにかまわずしろくまが続ける。
「いや〜よかったほんと。キャプテンなんてひなが倒れてからずっと寝てないんだよ。もう倒れるんじゃないかってぐらいひなを看病しててーー」
「ペポ、少し2人にしてくれ」
しろくまが続けていると、目つきの悪い男がしろくまの話を遮った。
「アイアイ!わかったよキャプテン」
そう言い、扉を閉め部屋にいなくなったしろくまをひなはぼーっと眺めるだけだった。
(この人が、キャプテン…?わたしを看病…?)
意味のわからないと言う表情のひなに目つきの悪い、”キャプテン”と言われた男がため息をつき口を開く。
「お前、覚えてねぇのか」
目の前の愛おしい彼女にローは言った。
ひなのこの行動、表情。
ひなはこんなバカみたいな演技はしないし、ましてやこんなことを自分には”もう”しないはずだった。
ならば、記憶がなくなっているのではないか。
「おぼえ、てる…?」
ベッドに座っているひなはローを見上げて話すようになるためどうしても上目遣いになってしまい、ローはこんな状況なのにもかかわらずどきっと胸がなった。