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何度だってあなたとなら【ONE PIECE】

第5章 幸せになれないマンドゥルゴ


「ロー…?」

「ひな」

(ローに抱きしめられている…?)

「どう、して…」

バーにいるはずじゃ。

「悪かった。」

(え…?)

「ローは、悪くないよ。」

ひなはフルフルと首を振る。

「…誤解なんだ」

やめて。

そんな優しい声で言わないで。

わたし、あなたを不幸にしてしまう…。


「俺はひなが好きだ。信じてもらえないかもしれねぇけど…」

ひなの耳元でローが言う。

ひなが壊れないように優しく優しく温かく腕に包まれて。

「わたしも、ローが好き、だよ…」

でも。

でもね、ダメなの。

もう、ダメなの。

驚いた表情をするローにひなは続ける。

「わたし、マンドゥルゴなの…」

「マンドゥルゴ?」

「わたし、あなたを殺してしまう…」

泣きながらひなは続ける。


「恋人に裏切られたりしたら、夜な夜な血を啜るの…、それで、殺しちゃうの…うっグスッ」

ママがひなに昔伝えてくれたようにひなはローに伝える。

「俺は、ひなを裏切ったりしねぇ」

ローが言う。

「もうっだめ…っもうだめなのっっ」

「ひな?」

「さっき、わたし、発動しちゃって…、恋人同士でもないのに。ごめんなさっ…うぅ」

泣くな。というようにローはひなを強く抱きしめる。

それが嬉しくて悲しくて、また涙が溢れる。

「わたし、きっと今日、ローが寝ている間、血を啜るわ…」


「悪りぃ…。俺が悪かった」

ひなと自分はひなの間ではもう恋人同士だったのだ。

ひなの記憶は違っても、ひなの心はそうだったのだ。


ひなが記憶をなくす前、ひなと俺はたしかに結ばれた。

その事実をひなに伝えなかったのは俺だ。

「ローは、悪くないよ…」

なにも知らないひなが言う。

悪いひな…。

なぁ、それでも俺は

「死んでも構わねぇから側にいてくれねぇか」

なんと酷なことをいうのだろう。

愛する者を夜な夜な死に導くひなにとって最低なことを言った。と言った後で気づく。

「俺は、お前といてぇよ」

自分勝手でごめん。

「ロー…」

ひなの綺麗な瞳が揺れた。

彼女は俯き、ありがとう。と溢す。



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