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何度だってあなたとなら【ONE PIECE】

第5章 幸せになれないマンドゥルゴ


「ねぇ、わたし…」

(殺しちゃうのよね…)

「ローのことっ…うぅ…っ」

ローの顔が揺れた。

涙がどっと溢れた。

「あァ…悪りぃ」

ふわりと暖かい感覚がする。

ローに抱きしめられると、安心する。

いつからだろう。

ずっと前から彼のことを知っているような気がするのは。

涙を抑えようと、声を出さないようにするたびに嗚咽が止まらなくなる。


わたしが泣くたびにローが優しく背中をゆすってくれる。

「ごめん…なさっ…ううっ」

重い女で。

愛してしまってごめんなさい。


「ひな…」

ローが優しく名前を呼ぶ。

「ロー…」

ローの方に顔を向けると唇に柔らかい感触がした。

(へっ?)

ちゅっと音を立ててローの唇が離れる。


「え、え…」

キスした…?

「口開けろ」

「へっ?」

なに、それ。と言おうとするとローの舌がひなの口の中へと侵入し、ひなの舌をみつけると、絡め取った。

(頭が、ふわふわする)

ふわふわするのに、冷静なわたしがローの唇は思っていたよりも冷たかった。とか冷静に判断している。

ひなが舌を動かすとローもその動きに合わせるようにして動かしてくれる。

それがお互いの気持ちが通じ合ってるようでとても心地よい。

(も、もうだめ…)

トントンとローの胸を叩けば、ローは唇を離す。

名残惜しそうにローの唇が離れるとさっきまで繋がっていた証として透明の糸がひなの口元からダラリと垂れる。

「は…はぁ…っ」

(も、もう、急に…)

「急に、しないでよ…」

「ククッ、急にじゃねぇだろ」

「もう…」

あぁ、幸せだ。

なんて幸せなんだろう。

わたしが化け物じゃなかったらきっと続いてたのかな…。

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