第5章 幸せになれないマンドゥルゴ
「船長さん〜?」
続きを誘ってくる女に苛立ちすら覚えた。
今はそれどころじゃない。
ひなに嫌われたのだ。
これ以上嫌われるようなことはしたくないと強く思う。
「うるせぇな」
ローはテーブルの端にあった水を一杯ごくっと飲み、すぐさまバーに背を向けた。
誤解を解かなくては。
誤解…。
なにが誤解なのだろうか。
ひなに見られた光景が全てだ。
あれほどひなを大切に思っていたのにも関わらず傷つけてしまったかもしれない。
もし俺が、しっているのがひなの全てだとすると。
ひなが行く場所には心当たりがある。
あいつは、まず船へは戻ろうとしないはずだ。
どこかの店へ入っているとも考えにくい。
できるだけ、人のいない。
明るい場所ーー。