第4章 危険のサイン
店を飛び出し、人ごみを掻き分け、誰もいない場所を目指しひなは走った。
走るしかなかった。
「はぁ、はぁ」
(なにも、考えるな…)
どうか朝日が昇るまでは。
ーー
ガシャンッ
なんの音だろう。
ママに絵本を読んでもらい眠りについていたはずのひなはこの音で目覚めた。
荒い息遣いの音が聞こえる。
見てはいけないものを見るような、そんな感覚に襲われる。
だが、何故だろうか。自然と足が進み、目はソレを見ようと必死だった。
『…まま?』
信じられない光景に思わず声を漏らしたひなにママはひなの方を向く。
『ひな…、ごめんなさいねっほんとっ…グスッ』
いつもは美しいママが、何故か老けて見えた。
髪を乱し、ママの口周りには血がたっぷりとついていた。
ママが座るベッドには、パパのなんとも言えない姿があった。
パパは首から血がダラダラと垂れており、だが苦しいもがいた様子はなく、ただ少し苦しそうな表情をしているだけだったが、なんだろうか。
パパはもう死んでいるような感じがした。
『ひな、グスッっ…ママはね、マンドゥルゴなの…。』
ごめんなさい。とママがひなに謝った。
『マンドゥルゴ…?』
聞いたことのない言葉にひなはママに聞き返す。
ママは、そうよ。と悲しげな笑みを浮かべた。
『ひなもママと同じマンドゥルゴなの…グスッ』
『マンドゥルゴはねーー。』