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名探偵コナン(光を抱いて)

第5章 10億円強盗殺人事件


静かな夜の道に2人分の足音がする。
少し後ろを歩く青年は、大道理から横道に入り始めた瞬間無言になった。
ぴりぴりとした緊張を抱えながら歩みを進める。
米花駅はもうすぐだ。過剰に心配することはないだろう。だがしかし気になるのは、最近ニュースや世間で騒がしくなっている人喰い事件だ。
これではまるで、2020年に起こったパンデミックのウイルスのようだ。

「………ありがとうございました。すごく助かりました」

そんな明るい声にはっとして振り向く。
考え事に集中していて駅に着いていたことも気づかなかった。

「あ、ああはい」
「失礼します。

男性が立ち去ると今度は、小柄な女性が話しかけてくる。

「あの……すみません、私ここに行きたいんですが」

その紙に書いてある住所と名前には見覚えも聞き覚えもあった。

「はい、ここなら知ってますよ。案内します」
「はい。有難うございます。あっそうだ、よかったらお店でお食事でも」
「え、いえ、そんな」
「お礼ですよ。さあこちらです」

ほぼ無理やり入れられたのはこじんまりした喫茶店だった。
頼んだココアを待っている途中、暇つぶしに喫茶店の中に設置してあるテレビに目をやる。


「今日は、鬼のことに詳しい専門家に来てもらいました。
鬼研究家の渡部晴人(わたべはると)さんです。今日は宜しくお願いします」
「はい。宜しくお願いします」
「それでは晴人さん、今かなり世間を騒がせている鬼なんですが、何故人間を捕食するのでしょうか」
「ならば聞くが、豪華な食事を目の前にして食べないという選択肢がおありかな?」
「はあ」
「鬼の大好物は人間なんですよ。もちろん人間の食べ物も食べれますがそれでは十分な栄養は取れない。まあ、我々人間で言うならば肉と野菜のようなものですよ」

年配の男性は流暢に語っている。

「……」
「なるほど……」

若いニュースキャスターは、興味深そうに話を聞く。

「それに人間を喰べると、3ヶ月は食べ物を口にしなくても腹は満たされるが、人間の食べ物では1日で腹が減る。それに人間の食べ物は油っぽくて美味しくないんです」

「……はあ」

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