第5章 10億円強盗殺人事件
「まあゆういつ飲み物は美味しく感じるようですが」
「なるほど……」
若いニュースキャスターは興味深そうに話を聞く。
「そんなに不安がらなくても大丈夫ですよ。
運が良ければ滅殺者に助けられますよ」
「その滅殺者とは?」
「鬼を葬る専門の人です。特徴は刀で戦うといったところでしょうか」
「それなら安心ですね」
「いやいや、それでも油断はいかんよ。彼らも人数が多いわけではない。だから助かるのも奇跡みたいな話だよ」
「……な、なるほど」
ニュースキャスターは不安に顔を曇らせている。
「鬼か人か見分け方とか何かあるんですか?」
「そうだねえ、見分けるのはかなり難しいよ。鬼も人間と同じ知性がある。この人間界に紛れてるからね。彼らも見つからないように人間と同じように生活しているんだよ。木を隠すなら森の中、鬼を隠すなら人間の中ってね。ああでも、一つだけ見分ける方法があるよ」
「……それは一体なんなのでしょうか!!」
「彼ら鬼が食事する時に顔が硬っていたり、美味しくなさそうに食べる奴は疑ってかかった方がいいかもねえ」
「そうなんですか。あっでも、苦手な食べ物って場合もあるんじゃないですか?」
「ははは。誰も飲食店で好き好んで自ら苦手な食べ物を食べる者はおらんだろ」
「そうですよね」
年配の男性に言われて若いニュースキャスターは、その通りだと顔を赤らめた。
「でも気おつけなよ?もしかしたら君の目の前に鬼がいるかもしれないし、もしかしたら今一緒にいる友達が鬼かもしれないし、道で擦れ違う人が鬼かもしれないからね」
画面の向こうの年配の男性がニヤリと笑う。