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名探偵コナン(光を抱いて)

第5章 10億円強盗殺人事件


首を横に振るがそれでもコナンは言葉を曲げない。

「じゃあ勝手について行くからいいよ」

私はそれに溜息を吐く。
もう断るのもめんどうだった。
後ろからついてくる足音を聞きながら石段にさしかかると、コナンが驚いたような声で言う。

「神社?天月ねーちゃんの友達って!」
「神社で働いているんだ。でも今回は仕事があって、私は留守番を言いわたされたの」
「……そうなんだ」

部屋に入りコナンに目を向ける。

「ジュース飲む?買ってくるよ。ご飯も弁当になるけど」
「う、うん。別にいいよ。じゃあボクも行く」
「大丈夫。コナンくんは待ってて」
「で、でも」
「大丈夫、すぐ帰ってくるから」
「うん、わかった。行ってらっしゃい。気おつけてね」

玄関まで来てくれたコナンくんに頷く。

スーパーで買い物を済ませて外に出ると、土砂降りの雨が降っていたので私は急いでコナンにメールを送り、ビニールカサを買ってコナンが待っている家へ急ぐが、ある路地裏から血の臭いが漂ってきて思わず足を止める。

「…………!」

耳をすますと何か変な音が聞こえた。
変な音を聞いていると小さな女の子が路地から出てきてこちらを見つめてくる。
私は背中に悪寒が走りその場から逃げるように走り出した。

翌日、コナンを送り届けると蘭が申し訳なさそうに謝ってくる。

「本当にごめんね、コナンくんが」
「気にしないで、この後仕事だから。また今度ゆっくり話そう」
「うん。わかった」

……

「いらっしゃいませー」

ニッコリと営業スマイルを貼り付ける。
店に入店してきたのは爽やかそうな吉見青年だった。彼はカウンター席に座り、ハンバーグ定食を頼む。
私は急いで次から次に飛び交うお客さんの注文を処理して、さっさと食事を持って行く。
テーブルの上に食事を置き、ハンバーグを口に運ぶ彼を見ていると何故か違和感を感じた。
ふと食事が終わったところで彼に話しかけてみることにした。

「あの……」
「はい?」
「急に話しかけてしまって申し訳ありません。なんだか食事をする手が止まっていたみたいなので……」
「あ、ああ。少し心配事がありまして」
「……心配ですか?」
「はい」

青年は困りげに眉を顰めてこう切り出した。

「それが、道に迷ってしまって……」
「それなら私がご案内しましょうか?」
「え、いいんですか」
「はい」

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