第5章 10億円強盗殺人事件
大男を探しているコナンたちを見かけて話していると、急に胸のもやもやが大きくなり、この時の漫画の内容を思い出して体を固めるが即座に3人に背を向けて走り出す。
後ろからの乱とコナンの言葉に答える余裕などなかった。
(まずい!まずい!なんで頼む出てくれ!)
電話をかけてみるが出る様子はなく急いで気を探り出す。
(あっちだ、頼むなんとか間に合ってくれ!!)
人と人の合間を縫いながら走っていると、自分の目の前に黄色い車が止まる。
確かあの車は阿笠博士のものだ。だが、運転席にはサングラスをかけた男がいた。
車を避けようと足を別の方角へ向けるがドアガラスが空き、「早く乗れ相良」と叫ばれた。
その時は何故自分の名前を知っているのかは全く気にならなかった。
倉庫から離れたところで降りて、倉庫の中に入るとそこにはもうすでに撃たれた彼女の姿があり、急いで駆け寄る。
「広田さん、広田さん!」
「誰だてめえ?」
重厚をこちらに向ける音がするが、もうすでに腸が煮え繰り返っている私の耳には何も聞こえない。
ゆらりと立ち上がり黒服2人の元へ踏み出そうとすると、後ろから強い力で前に押し倒される。
後ろにいる押し倒してきたやつを睨むと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「だめお願いだから、動かないで」
それは広田さんの悲痛な声だった。
「離せ離せえ!殺してやるあいつは絶対に!」
引き金が引かれるその直後、遠くから誰かの足音がして2人はそそくさと逃げ出す。
「待てよ、待てよっっ!!」
「広田さん!っ天月ねーちゃん?どうして」
「許さない、殺す殺してやる!」
何かかチャリと音がして私の意識は途絶えた。
次、目を覚ましたのはベットの上で、泣きたくなるぐらい胸が苦しくなった。
「……っ」
怪我もなく元気なので部屋に来た看護師からもう帰っていいと告げられた。そしてコナンと会ったのは、帰りの道すがらである。
「天月ねーちゃん、大丈夫?」
「コナンくん、大丈夫だよ」
悲しげに見つめてくるコナンの瞳も、もっと怪しまれることとかも、もうどうでもよかった。
「おねーさん、ボクをおねーさんちに泊めて!お願い」
「ごめんねコナンくん、私は今日から三日間友達の家に泊まるから」
「それでもいいから頼む!」