第5章 10億円強盗殺人事件
早朝、ゴミ出しをしているとゴミ置き場に2羽のカラスがゴミを漁っているのを見かけた。電柱に隠れながらゴミ袋の中身を啄むカラスの側に石を落とした。
急な音にびっくりしたカラスは、その黒い羽を広げて空へ羽ばたいていく。
ふと言い知れぬ不安を覚えて眉を寄せる。 何故こんなに胸がもやもやするのかわからず、悩ましげに顔を歪めた。
(はっまさかこれが恋なのか!?)
そう真剣に思ったりしてみたが、自分で自分に呆れて苦笑いを浮かべる。
……
「ねーちゃん、天月ねーちゃん!溢れてる!溢れてるから!!」
「あっ!」
コーヒーカップに注いだお湯がテーブルに広がる。
黒い液体を見ているとコナンが焦り気味に言う。
「早くふきんふきん」
「あ、ああうん」
「どうしたの?上の空だけど、珍しいね」
「ははは。少し疲れてるのかな?」
ニコリと笑うとコナンは、「そっか」と呟く。
……
テレビを見ていると突然、着信を知らせる音がなりそっと画面を見つめると、そこには登録した覚えのない名前が表示されていた。
工藤新一
その名前を目に止めると嫌々しく眉間にしわを寄せた。
放っておくこともできず渋々電話に出る。
「はい、もしもし」
「おっおう天月か」
「あ……はい」
「ポアロで会った時ぶりだな」
「ええ、そうですね工藤さん」
「……ああ」
「……えっとー、工藤さんがなんの御用で私に……?」
「……!っそれはだなあ…その……コナンに聞いたんだ」
「コナンくんからですか?」
「ああ、コナンがお前が元気ないって聞いたからよ。心配になって」
「ああ……なるほど、だから電話してくれたんですね?有難うございます」
「いやお礼なんていらねえよ。まっまあ体には気おつけろよ」
「はい」
「じゃあまた電話する」
そう言った後すぐ電話を切られる。
よくわからない工藤新一からの電話に不思議になりながらケータイをたたむ。
「てか電話する相手絶対間違ってるだろ」