第4章 大都会暗号マップ事件
空は雲一つない青空で、太陽が優しくアスファルトを照らす。
私は地面を照りつける光に目を細めた。
「天月ちゃん行きましょう」
「……う、うん」
デパートで色々見て回っていると、小さな小物やが目に入るがそっと視線を逸らす。
「私、服見てもいい?」
服屋に入ると彼女は嬉しそうに服を見ている。
そして時たま、ああでもないこうでもないと思案していた。
「…………」
そんな彼女のはしゃぎようにふと笑みが零れ落ちる。
「それで天月ちゃんはどんな服買うの?」
「えっいえ私は」
「ええ、買わないの?」
「服はたくさんあるので」
「そっか」
食事を終えて映画を見に行くことになり、私は広田さんに疑問を投げかける。
「それで何を見るんですか」
「ふふふ。それは天月ちゃんのだーい好きなものよ」
「大好きな?」
「ふふ。時間がくるまで内緒」
「お待たせしました。12時10分上映のドラ◯もんのび太の恐竜が、始まります……」
「え、ドラ◯もん?」
「ほらほら行きましょ」
広田さんは2人分のチケットを取り出してスタッフに手渡す。
「ドラ◯もんなんて見るの初めて」
「そうなんですか?」
「うん」
こそこそ話していると電気が消えて、劇場内でのマナーが始まった。
そして始まった映画に驚いた。
]なっなっ、ドラ◯もんの声が違うだと!それに登場人物まで。どういうことだ?わさびさんじゃない!?)
実は私の世界では、ドラ◯もんの声が2人いる。それはわさびさんと自分相良天月である。まあ世間には知られていないのだが。さらに演じる声も同じなのでテレビで見てる人には絶対にわからない。
映画も終わり歩いていると、広田さんがクスクスと笑い出す。
「天月ちゃん泣いてたわね」
「広田さんも泣いてたじゃないですかー」
「そうね。ははは」
笑い合っていると、どこか聞き覚えのある子供の声が聞こえてくる。よくは聞き取れないが何か紙を拾ったらしい。
ふと胸を撫で下ろす。
「……?」
「どうしたの?怖い顔して」
「ううん。大丈夫」
「そう」
広田は心配そうにしていた顔を笑顔に変える。そんな彼女の笑顔を見て微笑む。
そして思うのだ(彼女は違う)と