第4章 大都会暗号マップ事件
「くそーっ!」
探偵事務所に戻って来た4人は一息つくが、毛利は躍起になる。
「絶対奴のアリバイを崩してやる!! 奴の九州旅行のスケジュール表と、記念写真だ!!」
「えー、そんなの勝手にいいの?」
できたてのクッキーをテーブルに出しながら問いかけるが、あまり気にとめていないようだ。
「俺が警部に頼んで、特別に貸してもらったんだ!!」
「ふーん。なんかごめんねお父さんが…」
「大丈夫」
一つクッキーを掴み口の中に放り込みコメントした。
「あ、おいしいー」
「ほんと! 嬉しいー」
蘭がニコリと嬉しそうに微笑むのを見て頷く。
今は何時かと時計を見ると短い針が7時を指していて立ち上がる。
「それじゃあこれで…」
「もしかして… まだこのあとも仕事?」
「うん。ポアロにはマスターだけだから心配で… もう1人ぐらい入ってくれると助かるんだけど」
「そうだね。わたしがバイトできればいいんだけど」
「ううん。学生のうちは、勉強して遊ぶ方が友好的だよ。でもありがとう」
どこまでも心配してくれる蘭に微笑みかけた。
カウンターふきんで立つ。
マスターはポアロに戻って来た恵理香に驚いていたが、苦笑いになりながらも仕事をくれた。そしてしばらく待つとカランとドアベルが鳴り、ようやく仕事開始のアイズである。
入店して来た客を見て少し驚いたが、すぐさま営業スマイルで大洋すると彼女は、奥の席に座り恵理香に手招きをした。ぐっと息を飲み近づき注文を伺いに行く。
「アイスコーヒーで」
「かしこまりました」
丁寧に大洋して、できたてのアイスコーヒーをテーブルにおいた。
「それではごゆっくり…」
「座って」
「はあ!?」
急に支持された言葉に演技も忘れて聞き返す。
「私の仕事を手伝ってほしいのよ」
「手伝う? 一体何をですか?」
仕事と言われた単語に困惑する。
この人は引用氏で霊を成仏させたりする人であり、霊を抹殺するなんてあまり聞いた事がない。
「…………」
店内に誰もいない事を確認して小声で話し出す。
「ちょっと待ってください! ウチは霊を滅する事ならできますが、成仏させる事なんてできませんよ」
本来陰陽師は、霊を沈める事を生業とする。
霊を無理やり滅する事などほとんどしないはずだが。
「……もう沈める事はできないわ」
曽川の重々しい口が開く。