第3章 小さくなった名探偵
部屋の中沈黙が漂う。
爆弾事件の資料を目に通す萩原を見た。
その顔は真剣そのもので話しかけるのですら躊躇わせる。
この萩原光期という男はいつもへらりとしていて何を考えているか掴みにくい奴だが、仕事には厳しいし、身内には容赦なく言葉を発する事もある。それ故に愚痴を言う奴もいるが、彼は気にしていないどころか相手にすらしていない。
資料の文字に目を走らせる萩原の顔つきが変わった。
警視庁刑事部捜査一科三係に所属していた松田陣平。元爆発処理班に所属していた。
「ふーん、やっぱり仇討のためか……」
「どうだ、なんかわかったか?」
「うん。まあね」
萩原は不敵に笑って見せた。
萩原が仕事に戻るべく部屋に向かっていると呼び止められる。
「はい?」
きょとんと首を傾けてショートヘアーの女性を見る。
「萩原君こんにちは」
「あ、こんにちは。僕に何か」
「この前は助かったは、ありがとう」
「いえいえ、仕事は大変ですがお互い頑張りましょう」
「ええ、そうね」
もくもくと空に紫煙を吐き出す。
空に向けている瞳は悲しげに揺れていて苦笑する。
「ふっ今日は行けないかもな。残念」
「お帰りコナン君。学校はどうでしたか?」
コナンはげっと言う顔を一瞬見せてぎこちない笑みを作り、楽しかったよと笑う。そんなコナンの言葉に、こいつ嘘だな。と重いながらコナンに笑いかける。
「そうなんだ、早くお友達出来るといいですね」
「うっうん。ありがとう天月ねーちゃん。今日はお休みなの? バイト」
「そうなんだ。でも、ここのコーヒーや食べ物美味しいから来ちゃいました」
「そっか」
コナンは満面の笑みで返してくれたが、まだぎこちなさの残る顔を見て腹を抱えそうになり目を逸らす。
コナンと別れた後スタッフルームに入り溜息をつく。
「はあ…。あれ? なんでウチこの部屋に入ってんの!」
自分に呆れつつまた溜息を吐いた。
「まあいいや………バレー行こ」
ショルダーバッグのベルトを握り店を後にした。
諸伏と恵理香はコートを見ながら話をする。
「へえ、お前米花町に住んでんのかよ。すげえなきおつけろよ」
諸伏は苦笑いを溢して何故か応援してくれる。そんな諸伏に頷き私も苦笑した。
「なあ相良」
帰り道の途中並んで歩く諸伏が口を開く。
「ん?」
「お前も今度の大会出るだろ?」