第3章 小さくなった名探偵
ポアロの前で掃き掃除をしていると、江戸川コナンと毛利蘭が事務所から降りて来るところである。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはよう天月ねーちゃん」
手を振るコナンと欄に手を振り返した。
「行ってらっしゃい」
「あのすみません、このお店の方ですか?」
声をかけられたので後ろを振り向きながら答える。
恵理香はハッとして店の扉を開く。
「いらっしゃいませー」
お客をカウンター席に案内し注文を伺う。
コーヒーを目の前に置いてニコリと笑いかけた。
「ごゆっくりどうぞ」
「もしかして毛利探偵にご依頼でしょうか?」
「あ、いえ、今日は昨日のお礼に来たんです」
「お礼ですか?」
きょとんと首を傾げて見せると答えが返された。
「はい、そうなんです」
「へえー」
昼時になりお客の入店が激しくなりせっせと注文されたものを運ぶ。だが食事を運んでいる途中目にしてしまった。
食事している男性の横に座り目の前で手を振ったり、見えない事をいい事に男性の間近に顔を寄せ変顔して遊んでいるレイを。
そこにいる事に少しムカッとしたので彼奴の頭に当たるように結界を貼った。
背中越しに「いてっ」と聞こえたが無視して結界を頭の上に貼り何度もぶつけてやった。
次のテーブルに食事を運ぼうと厨房に戻る際にチラ見すると、かなり痛かったのか頭を抑えて長椅子に横たわるレイがいた。
買い出しの帰り道落し物を拾ったので警察署に向かう。警察署に入ると緊張してしまいきょろきょろ周りを見渡しながら歩く。
向こう側からくる警察官にどきりとしながら落し物相談窓口の場所を聞く。
不安になりながら階段を登り窓口へ向かう。
「あの、落し物を拾ったんですけど」
「それではこれに記入ください」
説明されながら記入した。
待っている間にこの警察署内を観察する。
さすがは漫画兼アニメの世界。周りはどこか明るく見えるし、何よりイケメンが多い。だがしかし知り合いを探す癖は今は必要ないだろう。
「……癖とは怖い」
自分の天敵がいない事に安堵しつついや、少し寂しい気もしないでもないが。
「あれ? 天月ちゃん?」
自分を呼ぶ声にこっちに向かってくる萩原の姿があった。
(…………うん、やっぱり天敵がいない事に限るわ)
目の前に来て手を振る萩原にげんなりする。