第3章 小さくなった名探偵
「よかった。あの人にも知り合いと呼べる人がいるんですね。日本の他にまだ」
(シリアスなとこぶち壊すけど、その人の事知らん。知り合いでもないし、なんなら会ったこともないし、もしかして今後関わってくるのか? まあ公安だからな)
「あ、名前で呼んでいるってことはそれだけ仲が良いってことですよね」
「ふっ。そうとはかぎりませんよ」
「…………」
「あ、私のことは他言無用でお願いします」
「わ、わかりました」
「あっいたー!」
少し遠くの方から声が聞こえてきてこっちに向かって来る足音が聞こえた。私達の目の前に立った男の子は急に頭を下げる。
髪の色はオレンジ色で毛が少し跳ねている。
「来てください! 大変なんです」
風見はその男の子の言葉にはっとして立ち上がり私を見やる。
「相良さんも行きましょう」
「え」
私達は男の子に引っ張られるようにして駆け出した。
…建物の中に入るとそこは体育館で、部員たちが試合をしていた。
私と風見は顔を見合わせて首を傾ける。
「これは一体?」
「急にすみません。冬の試合までにどうしてもメンバーが必要なんです。お願いします! 俺達のチームに入ってください」
灰色の髪の青年が頭を下げる。
練習風景を見るとコートには6人全員いるようで人数が欠けているようには見えないし、ベンチに2人いる。
「風見さんどうです?」
一度私を見て正面の彼に頭を下げる。
「申し訳ありません、私は仕事が忙しいもので」
男性は悲しげに眉を下げる。
「じゃあ君は?」
オレンジ髪の少年が言う。
「バカこの子は女性だぞ、男子に混ざれるわけないだろ」
そう今は平成の初め頃で男女混合は認定されていない。
男女混合が認定されたのは平成の半ば頃である。あくまでこれは私の世界の話であって、この世界の仕組みは知らないが、目の前の言い合いからして無理なのだろう。
「試合に男性だとか女性だとか関係あるんですか、男子だって女子だって関係ない! バレーが出来れば関係ない!」
「諸伏……」
「日向先輩」
「はあ、わかった。連盟に直接聞いてみるよ」
「よしっ!」
「あ、いやあの」
「俺、諸伏勝機。よろしくな」
腕を引っ張られコート内に入る。
「お前、どこのポジションなんだ?」
「アタッカー」
「そうなのか? すげーな」
「そんなことないよ」