第15章 ウォーターセブン 中編
「で、あの娘の何が気に入ったんじゃ?」
酔いがまわる筈がない男のしつこい質問に、ルッチは再び嘆息した
目の前の鼻の長い男は、獲物について何が何でも追求したいらしい
「答える必要はない。」
「そうか、そうか。」
ルッチの言葉にカクは、おどけた調子で軽快に笑った
確実に面白がっている様子に、ルッチは苦々しい顔をした
「まあ、いいわい。」
そう言って、カクはまたグラスを飲み干した
もう五杯目だ
じゃがな、、、と言いながらカクは丸い目を細めた
「ここでの目的は、わかっとるんじゃろうな?」
少しだけ真剣みのある口調で、カクがルッチに問いかける
心を見定めようとする問いに、ルッチは手に持つグラスを静かに置いた
「誰に言っている?」
僅かな間、本来の姿の二人のまま見合う
それだけで、空気がビリビリと音を立てた
「なら、いいんじゃが。お前さんらしくないと思ってな。」
先にカクが、やれやれと言いたげに肩をすくめたことで、空気が緩む
「ま、くれぐれも問題は起こさんでくれよ。」
そう言ってカクはブランデーの瓶を掴むと、自身のグラスとルッチのグラスをそれぞれに満たし、片方をルッチに手渡した
ルッチはそのグラスを持ち、揺れる液体に映る自分を見下ろした
数年にもわたる退屈な潜入中に、自ら獲物が手の内に飛び込んできたのだ
―――楽しまないわけないだろう
「ほら、また悪い顔をしとるぞ。」
まったく、何を考えとるんだか。と、ため息をつくカクを尻目に
「、、、さぁな。」
と、ルッチは夜より黒い髪を優雅にかき上げた