第15章 ウォーターセブン 中編
そういうこととは、どういうことだと言ってやりたがったが、ルッチは口には出さなかった
話すつもりは一切ない
長年待った獲物だ、楽しみを邪魔されたくはない
「カリファは騙せても、ワシの目はごまかされんぞ。」
空になったグラスを、カタンと机に置きながらカクがしつこく絡んでくる
「くどい。」
ルッチは露骨に眉間にしわを寄せるも、そんなことは気にもとめていないようにカクが言った
「カリファといえば、、、ああ、そうじゃった。あれからトラファルガーから、船の内装について手直しがあったと聞いとるぞ。」
「手直し?」
トラファルガー達は、まだ新しい船を見ていない
今日のゴタゴタで延期になったのだ
カクが言うには、船のお披露目もその手直しが終わってからになるらしい
船の手直し自体は珍しくはないが、まだ見てもいないうちからとは、、、、船を造った作った手前気にはなった
全ては目的を達成するための擬態にすぎないが、あくまでも仕事は仕事、手を抜いたことは一度もない
「なんでも1部屋潰して、作りたいものがあるんじゃと。」
トラファルガーが注文した船は、ガレーラカンパニーでも滅多に出ない医療船だ
気に入らないからというより、追加注文らしかった
「またひと仕事だな」
「材料から発注せんといけんものもある。作業には少なくとも10日はかかるかの。」
それに、とカクは付け加えた
「どうやら追加注文は、あの娘の為みたいじゃったぞ。」
含んだ言い方にうんざりする
「、、、、、、。」
ルッチはその問いを無視して、口にグラスを運んだ
その中身を一気に飲み干すと、コトリとグラスを机に置いた
複雑でいながらも、深みのある味だ
―――あの獲物は、どんな味がするだろうか
今から楽しみで仕方がなかった