第15章 ウォーターセブン 中編
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「昼間は、ずいぶんと楽しそうじゃったのう。」
ここはガレーラカンパニーの職長室
この部屋の主であるロブ・ルッチは、向かいの椅子に座るカクを一瞥した
「なんのことだ?」
「とぼけるな、あの娘だ。お前、随分悪い顔をしとったぞ。」
あの娘とは、ルッチの獲物のことだ
他の奴等になら、絶対に気づかれはしなかっただろうが、この長鼻の男は腐れ縁の長い付き合いだ
何かに気づいたらしい
「知らんな。」
ルッチは長い脚を不遜に組むと、慣れた手つきで蝋封されたブランデーの栓を抜いた
小気味よい音が聞こえたあと、ブランデー特有の匂いが鼻腔を擽る
その琥珀色の液体を、ゆっくりと愛用のグラスに注ぐ
トクトクとグラスに液体が満ちる音を遮って、カクがニイッと笑いながら言った
「なんじゃ、隠すのか?機嫌がいいのは、あの娘のせいなんじゃろ。」
どこか面白がるような口調のカクに、ルッチは嘆息する
今は仕事終わりのプライベートな時間
カクがルッチの部屋にやってくるのは、珍しいことではなかったが、今日のこいつは鬱陶しい
グラスを軽く揺すり、熟成されたブランデーの濃厚な香りを存分に味わってから、ルッチはそれをひとくち口に運んだ
――悪くない
待った時間の分だけ、美味になる
酒も獲物も、、、、
「知らんと言っている。」
「よお言うわい。秘蔵のブランデーまで開けとるくせに。」
そう言いながら、カクは自分のグラスに勝手にブランデーを注ぐ
遠慮なく、なみなみと
それを冷めた目で見ながら、ルッチはまたブランデーをひとくち口に運んだ
「飲みたい気分だっただけだ。」
「そら見ろ。飲みたい気分ということは、そういうことじゃろう。ま、ワシはこうしてルッチのコレクションのご相伴に預かれるがの。」
そう言って、カクはゴクゴクとグラスの中身を飲み干す
「く〜!50年ものは、やはり美味いのう!」
丸い目を更に丸くして、カクは再びグラスを満たしながら言った