第14章 ウォーターセブン 前編⚠
「、、、、、、。」
「、、、、、、。」
彼女も、、、、
きっと同じことを思い出している
ローは喉を潰されたかのように、声を出すことができなかった
長い間、ローは主人公の記憶を押し殺してきた
生きていくために、意識的にだ
何故なら思い出すだけで全身の血が逆流して、心臓を素手でじりじりと握り潰されていくような気持ちになったからだ
もがけばもがくほど底なしの泥沼に、引きずり込まれるようだったからだ
――だが今は、、、、
腕が触れるか触れないかの位置にいる主人公の小さな頭は俯いたままで、その表情は伺いしれない
主人公にとっては、演じていたに過ぎない取るに足りない記憶なのだろうか
あの笑顔も全て嘘偽りだったというのだろうか
―――いや、、、、違う、、、
結果的には金の為に裏切るようなマネをした彼女だが、、、、あの記憶の笑顔は本物だった
主人公を最後に抱いた夜のように、ふたりは同じ気持ちを共有していたと、ローが勝手にそう思いたいだけなのかもしれない
しかし、たとえ愚か者に成り下がろうとも、、、、、、
主人公を信じたかった
10年も経っているというのに色褪せない思い出は、ローの心に変化をもたらせようとしていた
シーグラスは、廃棄されたガラスが海の中で波や潮に揺られて砂に削られ、磨かれ、再び浜辺に戻ってきたもの、、、
美しくなめらかな姿はまるで小さな宝石のようで、「人魚の涙」と例えられることもある
触れると怪我をするほど鋭く尖った硝子が、そんな姿になるまで、ときには数十年から数百年かかることもあるという
今は行き場のないローの気持ちも、いつかは変化していくのだろうか
昔のように主人公に、優しさと愛しさだけを向けられるようになるのだろうか
フェミニストでもあるまいし、そんなことを考えるなんて
―――らしくねェな、、、、