第14章 ウォーターセブン 前編⚠
そしてこうして今、服屋を後にし主人公と二人並んで賑やかな町並みを歩きながらローはなんとも言えない居心地の悪さを感じていた
『似合ってるから、いいじゃねぇか。』
柄にもないことを言った、そしてしたという自覚はあった
主人公が着替えている間に、服屋の店員に当分困らない量の彼女の服を船に届けるように手配までしている
――船長として当然のことをしたまでだ
そう思おうとしても、シャチやペンギンのニヤついた顔を想像したら舌打ちが出そうになる
実際、修道服を脱ぎ捨ていわゆる女性らしい格好をした主人公は誰の目から見ても美女の類だ
主人公は全く気づいていないようだが、現に先程から何人もの男が主人公とすれ違いざまに振り向いている
中には横にいるローを露骨に嫉妬に満ちた目で見てくる奴もいたが、皆一様にローがひと睨みすれば慌てて視線をそらした
彼女を見てる男全てを蹴散らしてしまいたかったが、この時間を壊したくない気持ちの方が勝っていたのでローはできるだけ自分の影に主人公を隠しながら黙って歩いた
「あ!ここ見てもいい?」
「ああ。」
船で必要なものは好きに選んでいいと言ったのが、よほど嬉しかったのか、主人公は立ち止まった店で意気揚々と皿を選んでいる
料理を盛るという皿の機能をはたしてくれるものならローは何でも構わなかったが、彼女はそうではないらしい
これは手触りがとか、これじゃ小さいなど、たくさんの皿とにらめっこをしながら選んでいる姿は見ていて飽きそうにない
しばらく皿と対峙していた主人公は、似たような物が無造作に並ぶ中から一枚の皿を取り出すとローに向かって差し出した
「ロー、これとかどうかしら?」
シンプルだが使い勝手がよさそうな大皿だ
「いいんじゃねぇか。」
本当にそう思ったので、素直に口に出すと主人公は本当に嬉しそうに笑った
―――まるで、ガキだな
つい口元が緩んでしまう