第13章 一進一退
昨晩のやりとりは全てなかった事にされた気がした
『奴隷』という歪な契約、そんな関係でしか繋がれないと、、、彼女は言ったのかもしれない
そう思うと、胸を掻き毟りたくなるような衝動のまま、それ以上は聞きたくなくて彼女の唇を塞いだ
全ては海軍から逃げたいが為の、その場限りの言葉だったのだろうか
たとえそうだとしても、、、、もう遅い
ローは彼女を手放す気なんてこれっぽっちもない
彼女を奪おうとする者が現れたなら、容赦なく殺す
もし主人公がこんなローから逃げ出したいと言うなら、彼女を壊してでも手元に置いておく道を選ぶだろう
己の狂気じみた執着に驚きつつも、10年前と同様に、再び自分を惑わす主人公を憎いとも思った
『俺はやっぱり、お前が憎い。』
ぐちゃぐちゃな感情のまま、息をもさせぬ勢いで彼女の唇を貪り、最後にはひどい言葉までぶつけた
ローは、目の前で眠る主人公のおでこにかかる金色の髪をそっと撫でた
ローは息を吐いて、己の未熟さに奥歯を噛み締めた
八つ当たりもいいとこだ
結局、、、、、主人公に惹かれているという事実
そのことに、自分自身がまだ向き合えていないだけじゃねェか
いつもよりずっと幼く見える彼女は、寝ていてもどこか悲しげだ
ローは目を伏せ、主人公の唇に自分の唇をそっと重ねた
少し荒れてしまった唇に触れながら思う
では自分は一体、いつまで彼女を憎めば気が済むのだろうか、、、と
ローの中でその答えが出ることはなかった