第13章 一進一退
そして彼は言った
「これから向かう先は、あなたにとって間違いなく安全な場所です。あなたの安全は私が保障します。」
きっとそれは本当の事なのだろう
彼の事はまだよく知らないが、嘘をつくような人ではないと思った
主人公はローの腕から降りると、モモンガ中将を見た
一旦大きく息を吸い込み、それから口を開く
震えてしまうと思っていた声は、自分でも驚く程に落ち着いていた
「ごめんなさい。私は行けません。上層部の方にお伝えください。どうか私をほおっておいて欲しい、と。」
それを聞いて、モモンガ中将はまるで主人公に言い聞かせるようにゆっくりと言った
「あなたは何不自由ない生活と、人々に尊敬される立場を手に入れられる。貴女に用意されているのは、この世で誰もが望む地位だと言っていい。」
目を逸らさないまま、首を横に振る
「そんなものいりません。私には必要ないんです。」
何不自由ない生活、尊敬される立場
確かにそれらを望む人もいるのかもしれない
でも、主人公は望んでない
これっぽっちも望んでないのだ
お前が決めろ、と、ローはそう言ってくれた
もう自分の気持ちを偽りたくない
海兵達の前で、はっきりと意思表示をした事を後悔はしていない
しかし今の状況は、ハートの海賊団が海軍船を襲い、主人公を奪ったと、、、そんな風に思われても仕方がない状況だ
これでは海軍達の矛先は、ロー達に向いてしまう
それは駄目だ、絶対に
主人公はロー達に奪われるのでなく、自分の意志で行くのだ
――もう、迷わない
揺るがない瞳で、真っ直ぐにモモンガ中将を見た