第12章 矛盾
ロー達にはきっと何か目的があるのだ
それが何かはわからないが、とにかくあんな大砲に当たれば彼等の船は一撃で沈んでしまう
想像するだけで生きた心地がしない
「来ないでー!」
ここ何年も出した事がないほど大きな声で、必死で叫んでみる
しかし、波と風、そしてこの喧騒の中では主人公のちっぽけな声など簡単に掻き消されてしまう
落ちそうな程に身を乗り出して更に叫ぶと、すかさず「危ない!」と海兵に止められたが、構わず主人公は叫び続けた
「来ては駄目!!来ないでー!」
その願いも虚しく、そのまま驚くべき速さで追いついてきたロー達の船は、海軍の船のすぐそばまで来たかと思うと、ようやくその速度を緩めた
ピリピリとした空気の中、ずらりと並んだ海兵が、一斉にロー達の船に向けてガチャリと銃の狙いを定める
しかし、彼等はすぐにはその引き金を引かない
モモンガ中将が険しい顔で、目の前の船を睨みつけている
海兵達は、彼の合図を待っているのだ
一体どうなってしまうの、、、、
あまりの事に膝が震え、主人公の背中を冷や汗が伝う
緊迫する中、先程までとは打ってかわっての静寂が訪れる
辺りは静まり返り、聞こえるのは波音と風の音だけだ
張り詰めた緊張感の中、、、、
目の前の船からその人物は現れた
何の恐れもないような超然とした態度に、不遜な表情
見間違う筈なんてある訳ない
それはまさしく、ハートの海賊団の船長
そして主人公が愛した人
トラファルガー・ローだった
―――ロー!!
思わず名前を叫びそうになったが、その前に相手がこちらに向かって叫んだ
「主人公!」
静けさを破るように名前を呼ばれ、ドキリとした
そして彼は続けた
「お前を攫いに来た!!!」